• URLをコピーしました!

一握の砂

著者:石川啄木

いちあくのすな - いしかわ たくぼく

文字数:14,849 底本発行年:1910
著者リスト:
著者石川 啄木
親本: 一握の砂
0
0
0


序章-章なし

函館なる郁雨宮崎大四郎君

同国の友文学士花明金田一京助君

この集を両君に捧ぐ。 予はすでに予のすべてを両君の前に示しつくしたるものの如し。 従つて両君はここに歌はれたる歌の一一につきて最も多く知るの人なるを信ずればなり。

また一本をとりて亡児真一に手向く。 この集の稿本を書肆の手に渡したるは汝の生れたる朝なりき。 この集の稿料は汝の薬餌となりたり。 而してこの集の見本刷を予の閲したるは汝の火葬の夜なりき。

著者

[#改ページ]

明治四十一年夏以後の作一千余首中より五百五十一首を抜きてこの集に収む。 集中五章、感興の来由するところ相ちかきをたづねて仮にわかてるのみ。 「秋風のこころよさに」は明治四十一年秋の紀念なり。

[#改ページ]

我を愛する歌

東海とうかい小島こじまいそ白砂しらすな

われきぬれて

かにとたはむる

につたふ

なみだのごはず

一握いちあくの砂をしめしし人を忘れず

大海だいかいにむかひて一人ひとり

七八日ななやうか

泣きなむとすと家をでにき

いたくびしピストルでぬ

砂山すなやま

砂を指もてりてありしに

ひとさにあらしきたりてきづきたる

この砂山は

なにはかぞも

砂山の砂に腹這はらば

初恋の

いたみを遠くおもひづる日

砂山のすそによこたはる流木りうぼく

あたり見まはし

ものひてみる

いのちなき砂のかなしさよ

さらさらと

序章-章なし
━ おわり ━  小説TOPに戻る
0
0
0
読み込み中...
ブックマーク系
サイトメニュー
シェア・ブックマーク
シェア

一握の砂 - 情報

一握の砂

いちあくのすな

文字数 14,849文字

著者リスト:
著者石川 啄木

底本 日本文学全集12 国木田独歩・石川啄木集

親本 一握の砂

青空情報


底本:「日本文学全集12 国木田独歩 石川啄木集」集英社
   1967(昭和42)年9月12日初版発行
   1972(昭和47)年9月10日9版発行
底本の親本:「一握の砂」東雲堂書店
   1910(明治43)年12月1日刊行
※冒頭の献辞と自序は、「啄木全集 第一巻」筑摩書房、1970(昭和45)年5月20日初版第4刷発行から、補いました。
※底本巻末の小田切進による注解は省略しました。
入力:j.utiyama
校正:浜野智
1998年8月11日公開
2017年10月30日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:一握の砂

小説内ジャンプ
コントロール
設定
しおり
おすすめ書式
ページ送り
改行
文字サイズ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!