みだれ髪
著者:与謝野晶子
みだれがみ - よさの あきこ
文字数:10,687 底本発行年:1968
[#ページの左右中央]
この書の体裁は悉く藤島武二先生の意匠に成れり表紙画みだれ髪の輪郭は恋愛の矢のハートを射たるにて矢の根より吹き出でたる花は詩を意味せるなり
[#改ページ]
臙脂紫
夜の
歌にきけな誰れ野の花に紅き
血ぞもゆるかさむひと夜の夢のやど春を行く人神おとしめな
椿それも梅もさなりき白かりきわが罪問はぬ
その子
堂の鐘のひくきゆふべを前髪の桃のつぼみに
紫にもみうらにほふみだれ
紫の濃き虹説きしさかづきに
まゐる酒に
海棠にえうなくときし
水にねし嵯峨の
春の国恋の御国のあさぼらけしるきは髪か
今はゆかむさらばと云ひし夜の神の
細きわがうなじにあまる
秋の神の
山ごもりかくてあれなのみをしへよ
とき髪に
雲ぞ青き来し
夜の神の朝のり帰る羊とらへちさき枕のしたにかくさむ
みぎはくる牛かひ男歌あれな秋のみづうみあまりさびしき
やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君
許したまへあらずばこその今のわが身うすむらさきの酒うつくしき
わすれがたきとのみに
人かへさず暮れむの春の宵ごこち
たまくらに
春雨にぬれて君こし草の
牧場いでて南にはしる水ながしさても緑の野にふさふ君
春よ老いな藤によりたる
雨みゆるうき葉しら
ブックマーク系
サイトメニュー
シェア・ブックマーク
みだれ髪 - 情報
青空情報
底本:「みだれ髪」新潮文庫、新潮社
2000(平成12)年1月1日発行
底本の親本:「みだれ髪」名著複刻全集 近代文学館、日本近代文学館
1968(昭和43)年12月発行
初出:「みだれ髪」東京新詩社・伊藤文友館
1901(明治34)年8月15日発行
※このファイルには、青空文庫からリンクされている以下のテキストを、上記底本にそって修正し、組み入れました。
「みだれ髪(明治34年)」(入力:岡島昭浩、大阪大学のサイト(http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/bungaku.htm)で公開)
※初出の復刻版をもとにした底本は、本文では誤植もそのままなぞり、別に、監修者、松平盟子による訂正表を掲載しています。このファイルでは、同表において誤りとされた箇所をあらため、「[#「…」は初出では「…」]」の形式で注記しました。
※底本編集時に、*を添えて新たに付されたルビは、入力しませんでした。
※解説の便宜のために、底本編集時に加えられた通し番号は、入力しませんでした。
入力:田中哲郎
校正:富田倫生
2012年2月8日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
青空文庫:みだれ髪