ランボオ詩集
著者:ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud
ランボオししゅう
文字数:32,066 底本発行年:1968
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初期詩篇
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感動
私はゆかう、夏の青き宵は
麦穂
夢想家・私は私の足に、
吹く風に思ふさま、私の頭をなぶらすだらう!
私は語りも、考へもしまい、だが
果てなき愛は心の
私は往かう、遠く遠くボヘミヤンのやう
天地の間を、女と伴れだつやうに幸福に。
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フォーヌの頭
緑金に光る葉繁みの中に、
けぶるがやうな葉繁みの中に
活々として、佳き
ふらふらフォーヌが二つの目を出し
その
古酒と血に染み、
その唇は笑ひに開く、枝々の下。
と、逃げ隠れた――まるで栗鼠、――
彼の笑ひはまだ葉に揺らぎ
掻きさやがすを、われは見る。
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びつくりした奴等
雪の中、濃霧の中の黒ン坊か
炎のみゆる気孔の前に、
奴等
ジツと見てゐる、
ふつくらとした金褐の麺麭、
奴等見てゐるその白い頑丈な腕が
燃ゆる窯の穴の中。
奴等聴くのだいい麺麭の焼ける音。
ニタニタ顔の麺麭屋殿には
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ランボオ詩集 - 情報
青空情報
底本:「中原中也全訳詩集」講談社文芸文庫、講談社
1990(平成2)年9月10日第1刷発行
2007(平成19)年1月10日第9刷発行
底本の親本:「中原中也全集 5」角川書店
1968(昭和43)年4月10日初版発行
初出:「ランボオ詩集」野田書房
1937(昭和12)年9月15日初版発行
※原題は底本では、「VRES D'ARTHUR RIMBAUD」と表記されています。
※ルビのうち括弧()付きのものは、底本の親本「中原中也全集」編纂者によるものである。
(例)恰度((ちやうど))
※ママ注記のうち括弧()付きのものは、「中原中也全訳詩集」編集者によるものである。
(例)臘((ママ))燭
※(1)〜(2)は注釈番号です。底本では、直前の文字の右横に、ルビのように付いています。
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:オーシャンズ3
校正:L.P.S.
2009年4月12日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
青空文庫:ランボオ詩集