イーリアス 03 イーリアス
著者:ホーマー Homer
イーリアス
文字数:368,480 底本発行年:1940
第一歌
詩神への祈。 題目の略示。 アポローンの祭司其女クリュセーイスの贖を求めてアガメムノーンに辱めらる。 祭司の祈に依りアポローン疫癘をアカイア陣中に湧かしむ。 豫言者カルハースの説明。 アガメムノーンとアキリュウスとの爭。 アガメムノーン祭司の女を返し、其代償として先にアキリュウスの獲たるブリイセーイスを奪ふ。 アキリュウス怒り、部下を率ゐて水陣に退く。 神母テチス其哀訴を聞き、ヂュウスの救を乞ふことを約す。 クリュセーイスの解放。 神母オリュンポスに登り、ヂュウスに哀訴して聽かる。 ヂュウス約すらく、アキリュウスの屈辱を雪ぐ迄はトロイア軍に戰勝を許すべしと。 天妃ヘーレー之を悟りて天王と爭ふ。 ヘープァイストス之を和解せしむ。
*神女よ歌へ、アキリュウス・*ペーレーデース
燃やせる瞋恚――その
禍
投じ、彼らの
すごき瞋恚を(斯くありてヂュウスの神意滿たされき) 5
*アートレ,デース、民の王、および英武のアキリュウス、
猛けり*爭ひ別れたる日を吟詠の手はじめに。
1 詩神ムーサ(複ムーサイ)
1 ペーレーデースとはペーリュウスの子の意。
2 正しく曰はばアカーイアー。 當時はグリースの名稱無し。 國民はアカーイオス(複アカーイオイ)又アルゲーオイ又ダナオイとも呼ばる。
3 冥府の王アイデース或はハイデース、いつもペルソーナとして冥府を見る。 XXIII244に初めて冥府となす。
6 アートレーデースを縮む。 ,は省略の記號、以下皆同樣、アートレーデースはアトリュウス(又アートリユウス)の子の意、アトレーデースとも他の詩歌には發音す。 ホメーロスの詩に於ては必ずアートレーデース。 (Brasse's Greek Gradus)
7 「爭ひ別れたる日」のこのかた「ヂュウスの神意滿たされき」と解する人々あり。
いづれの神ぞ、爭を二雄の
そはレートーとヂュウスとの*生める子――彼は其祭司
クリュセーイスを恥ぢしめしアートレ,デースにいきどほり、 10
陣に疫癘湧かしめぬ、斯くて衆軍亡び去る。
これより先にクリュセース其の愛娘を救ふべく、
巨多の賠償もたらして、アカイア族の輕舟の
第一歌
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イーリアス - 情報
青空情報
底本:「イーリアス」冨山房
1940(昭和15)年11月15日発行
※底本でのレイアウト(行番号は上部に、空白をあけて本文、下部に脚注本文)は、適宜変更しました。
※底本では行番号が不正に振られている箇所がありましたので、正しい行番号に替えました。
※脚注のローマ数字は半角ラテン文字で代用しました。
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
※ギリシャ語原典では第四歌は544行ですが、土井訳版では543行になっています。
※「第二十歌」237行目「チトーノス、またプリアモス」は底本では欠落していますが、戦後新版を参照して補いました。
※「廻」と「」、「トロイア」と「トロイヤ」、「鎗」と「槍」、「無慚」と「無慘」、「纒」と「纏」、「塹濠」と「塹壕」、「羸」と「[#「羸」の「羊」に代えて「果」、U+81DD、ファイル末注記]、「ヘク,トル」と「ヘクト,ル」、「姉」と「[#「女+(「第−竹」の「コ」に代えて「丿」)、「姉」の正字」、U+59CA、ファイル末注記]、「鼓動」と「皷動」、「抂」と「枉」の混在は底本通りにしました。
入力:山本 寛
校正:小林繁雄
2010年9月10日作成
2012年10月17日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
青空文庫:イーリアス