大勢順応
著者:勝海舟
たいせいじゅんのう - かつ かいしゅう
文字数:495 底本発行年:1968
著者リスト:
著者:勝 海舟
底本:
日本の名随筆 別巻95 明治
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序章-章なし
憲政党が、伊藤さんに代つて、内閣を組織した当時、頻りに反対して騒ぎまはつた連中も、己れは知つて居るよ。 だが随分見透しの付かない議論だと思つて、己れなどは、独りで笑つて居たのさ。 御一新の際に、薩摩や、長州や、土州が政権を執れたとて、なに彼等の腕前で、迚も遣り切れるものかと、榎本や、大鳥などは、向きになつて怒つたり、冷やかしたりした連中だ。 所がどうだ、暫くすると、自分から始めて薩長の伴食になつたではないか。 何も大勢さ。 併し今度の内閣も、最早そろ/\評判が悪くなつて来たが、あれでは、内輪もめがして到底永くは続くまいよ。 全体、肝腎の御大将たる大隈と板垣との性質が丸で違つて居る。 板垣はあんな御人よし、大隈は、あゝ云ふ抜目のない人だもの、とても始終仲よくして居られるものか、早晩必ず喧嘩するに極つて居るよ。 大隈でも板垣でも、民間に居た頃には、人の遣つて居るのを冷評して、自分が出たらうまくやつてのけるなどゝと思つて居たであらうが、さあ引き渡されて見ると、存外さうは問屋が卸さないよ。 所謂岡目八目で、他人の打つ手は批評が出来るが、さて自分で打つて見ると、なか/\傍で見て居た様には行かないものさ。
序章-章なし
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