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一寸法師

著者:楠山正雄

いっすんぼうし - くすやま まさお

文字数:5,487 底本発行年:1983
著者リスト:
著者楠山 正雄
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序章-章なし

むかし、摂津国せっつのくに難波なにわというところに、夫婦ふうふものんでおりました。 子供こども一人ひとりいものですから、住吉すみよし明神みょうじんさまに、おまいりをしては、

「どうぞ子供こども一人ひとりおさずけくださいまし。 それはゆびほどのちいさな子でもよろしゅうございますから。」

一生懸命いっしょうけんめいにおねがもうしました。

するともなく、おかみさんは身持みもちになりました。

「わたしどものおねがいがかなったのだ。」

夫婦ふうふはよろこんで、子供こどもまれる日を、今日きょう明日あすかとちかまえていました。

やがておかみさんはちいさな男のあかちゃんをみました。 ところがそれがまたちいさいといって、ほんとうにゆびほどの大きさしかありませんでした。

ゆびほどの大きさの子供こどもでも、ともうげたら、ほんとうにゆびだけの子供こども明神みょうじんさまがくださった。」

夫婦ふうふわらいながら、この子供こどもをだいじにしてそだてました。 ところがこの子は、いつまでたってもやはりゆびだけより大きくはなりませんでした。 夫婦ふうふもあきらめて、その子に一寸法師いっすんぼうし名前なまえをつけました。 一寸法師いっすんぼうしは五つになっても、やはりせいがのびません。 七つになっても、おなじことでした。 十をしても、やはり一寸法師いっすんぼうしでした。 一寸法師いっすんぼうし往来おうらいあるいていると、近所きんじょ子供こどもたちがあつまってきて、

「やあ、ちびがあるいている。」

「ふみころされるなよ。」

「つまんでかみつぶしてやろうか。」

「ちびやい。 ちびやい。」

口々くちぐちにいって、からかいました。 一寸法師いっすんぼうしはだまって、にこにこしていました。

一寸法師いっすんぼうしは十六になりました。 ある日一寸法師いっすんぼうしは、おとうさんとおかあさんのまえへ出て、

「どうかわたくしにおひまください。」

といいました。 おとうさんはびっくりして、

「なぜそんなことをいうのだ。」

きました。 一寸法師いっすんぼうしはとくいらしいかおをして、

「これから京都きょうとのぼろうとおもいます。」

といいました。

京都きょうとのぼってどうするつもりだ。」

京都きょうと天子てんしさまのいらっしゃる日本一にっぽんいちみやこですし、おもしろいしごとがたくさんあります。

序章-章なし
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一寸法師 - 情報

一寸法師

いっすんぼうし

文字数 5,487文字

著者リスト:
著者楠山 正雄

底本 日本の古典童話

青空情報


底本:「日本の古典童話」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年6月10日第1刷発行
入力:鈴木厚司
校正:林 幸雄
2006年7月28日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:一寸法師

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