灰だらけ姫 またの名 「ガラスの上ぐつ」
原題:CENDRILLON, OU LA PETIT PANTOUFLE DE VERRE
著者:ペロー Perrault
サンドリヨン
文字数:8,212 底本発行年:1950
一
むかしむかし、あるところに、なに不自由なく、くらしている
さて、この
かわいそうなむすめは、なにもかもじっとこらえていました。
父親は、すっかり母親にまるめられていて、いっしょになって、こごとをいうばかりでしたから、むすめはなにも話しませんでした。
それで、いいつかったしごとをすませると、いつも、かまどの前にかがんで、
それにしても、サンドリヨンは、どんなに、きたない身なりはしていても、美しく着かざったふたりのきょうだいたちにくらべては、百そうばいもきれいでしたし、まして心のうつくしさは、くらべものになりませんでした。
二
さてあるとき、その国の王様の王子が、さかんなぶとう会をもよおして、おおぜい身分のいい人たちを、ダンスにおまねきになったことがありました。 サンドリヨンのふたりのきょうだいも、はばのきくおとうさんのむすめたちでしたから、やはり、ぶとう会におまねきをうけていました。
ふたりは、おまねきをうけてから、それはおかしいように、のぼせあがって、
「わたしは、イギリスかざりのついた、赤いビロードの着物にしようとおもうのよ。」 と、姉はいいました。
「じゃあ、わたしは、いつものスカートにしておくわ。
けれど、そのかわり、金の花もようのマントを着るわ。
そうして、ダイヤモンドの
ふたりは、そのじぶん、
サンドリヨンも、やはりそういうことのそうだんに、いちいち使われていました。
なにしろ、このむすめは、もののよしあしのよく分かる子でしたから、ふたりのために、いっしょうけんめい、くふうしてやって、おまけに、おけしょうまで手つだってやりました。
サンドリヨンに
「サンドリヨン、おまえさんも、ぶとう会に行きたいとはおもわないかい。」 といいました。
「まあ、おねえさまたちは、わたしをからかっていらっしゃるのね。 わたしのようなものが、どうして行かれるものですか。」
「そうだとも、灰だらけ娘のくせに、ぶとう会なんぞに出かけて行ったら、みんなさぞ笑うだろうよ。」 と、ふたりはいいました。
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灰だらけ姫 またの名 「ガラスの上ぐつ」
サンドリヨン またのな 「ガラスのうわぐつ」
文字数 8,212文字