眠る森のお姫さま
原題:LA BELLE AU BOIS DORMANT
著者:ペロー Perrault
ねむるもりのおひめさま
文字数:8,255 底本発行年:1950
一
むかしむかし、王様とお妃がありました。
おふたりは、こどものないことを、なにより悲しがっておいでになりました。
それは、どんなに悲しがっていたでしょうか、とても口ではいいつくせないほどでした。
そのために、世界じゅうの海という海を渡って、神様を
でもそのうち、とうとう信心のまことがとどいて、お妃に、ひいさまの赤ちゃんが生まれました。
それでさっそく、さかんな
さて洗礼式がすんだあと、呼ばれた七人のなかま一同が、王様のお城にかえりますと、そこには、妖女たちのために、りっぱなごちそうのしたくが、できていました。
ひとりひとりの
ところで、みんなならんで
というわけは、このおばあさんの妖女は、今から五十年もまえ、ある
王様はあわてて、この妖女の前にも、ひとそろい食器を並べさせました。
でも、それはもう、大きな金の箱に入れた
そのとき、ほかの若い妖女のひとりが、そばにとなりあわせていて、おばあさんのくどくどいうことばを、そっと聞いていました。
それで、このおばあさんが、王女になにかよくないおくりものをしようと、たくらんでいることがわかりましたから、食事がすんで、みんなが
そうこうするうちに、いよいよ、妖女たちは、それぞれ、お姫さまにおくりもののことばをのべることになりました。
なかで、いちばん若い妖女は、お姫さまが世界一美しい人になられますように、といいました。
つぎの妖女は、天使のようなおこころがさずかりますように、といいました。
三ばんめの妖女は、王女のたちいふるまいの、やさしく、しとやかにありますように、といいました。
四ばんめの妖女は、たれおよぶもののないダンスの
このおそろしいおくりものは、身ぶるいの出るほど、みんなをびっくりさせて、たれもお
「いいえ、王様、お妃様、だいじょうぶ、あなたがたのだいじなおひいさまは、いのちをおなくしになるようなことはありません。 もっとも、わたくしには、この年よりのいったんかけたのろいを、のこらずときほごすまでの力はございません。 おひいさまは、なるほど手のひらに、つむをおつきたてになるでしょう。 けれどそのために、おかくれになるということはありません。 ただ、ぐっすりと、ねこんでおしまいになって、それは百年のあいだ、目をおさましになることがないでしょう。 そして、ちょうど百年めに、ある国の王子さまが来て、おひいさまの目をおさまし申すことになるでしょう。」