イワンの馬鹿
原題:SKAZKA O IVANE-DURAKE
著者:トルストイ Tolstoi
イワンのばか
文字数:27,576 底本発行年:1928
一
むかしある国の田舎にお金持の百姓が住んでいました。
百姓には兵隊のシモン、
そこで兵隊のシモンは自分の領地へ出かけて行って
「
そこでシモンは父親のところへ行って言いました。
「お父さん、あなたはお金持なのに私にはまだ何もくれませんでした。 あなたの持ちものを分けてその三分の一を私に下さい。 そうすりゃ私の領地の手入をすることが出来ますから。」
すると年寄った父親は言いました。
「お前は
と、シモンは、
「イワンは馬鹿です。 それにマルタはお嫁に行く年はとっくに過ぎていて、おまけにつんぼでおしです。 あれ等に財産を持たしたってそれが何になるでしょう。」
と言いました。 おじいさんは、
「じゃ、イワンが何というか聞いてみよう。」
と言いました。
イワンは、
「兄さんの欲しいだけ上げなさい。」
と言いました。
そこで兵隊のシモンは父親から
肥満のタラスもたくさんのお金をもうけてある商人の
「私にも私の分け前を下さい。」
と言いました。
しかし父親はタラスにも分けてやりたくなかったので、
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イワンの馬鹿 - 情報
青空情報
底本:「小學生全集第十七卷 外国文藝童話集上卷」興文社、文藝春秋社
1928(昭和3)年12月25日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
その際、以下の置き換えをおこないました。
「一層→いっそう か知ら→かしら 位→くらい 毎→ごと 此の→この 凡て→すべて 大分→だいぶ 一寸→ちょっと て置→てお て見→てみ て貰→てもら 何處→どこ どの道→どのみち 中々→なかなか 殆ど→ほとんど 先づ→まず 又→また 迄→まで 間もなく→まもなく 若し→もし や否や→やいなや 私→わし」
※底本は総ルビですが、一部を省きました。
入力:京都大学電子テクスト研究会入力班(加藤祐介)
校正:京都大学電子テクスト研究会校正班(大久保ゆう)
2004年5月18日作成
2005年12月17日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
青空文庫:イワンの馬鹿