赤ずきんちゃん
原題:ROTKAPPCHEN
著者:グリム兄弟 Bruder Grimm
あかずきんちゃん
文字数:3,700 底本発行年:1949
むかし、むかし、あるところに、ちいちゃいかわいい女の子がありました。 それはたれだって、ちょいとみただけで、かわいくなるこの子でしたが、でも、たれよりもかれよりも、この子のおばあさんほど、この子をかわいがっているものはなく、この子をみると、なにもかもやりたくてやりたくて、いったいなにをやっていいのかわからなくなるくらいでした。 それで、あるとき、おばあさんは、赤いびろうどで、この子にずきんをこしらえてやりました。 すると、それがまたこの子によく似あうので、もうほかのものは、なんにもかぶらないと、きめてしまいました。 そこで、この子は、赤ずきんちゃん、赤ずきんちゃん、とばかり、よばれるようになりました。
ある日、おかあさんは、この子をよんでいいました。
「さあ、ちょいといらっしゃい、赤ずきんちゃん、ここにお
「そんなこと、あたし、ちゃんとよくしてみせてよ。」 と、赤ずきんちゃんは、おかあさんにそういって、指きりしました。
ところで、おばあさんのおうちは、村から半道はなれた森の中にありました。 赤ずきんちゃんが森にはいりかけますと、おおかみがひょっこりでてきました。 でも、赤ずきんちゃんは、おおかみって、どんなわるいけだものだかしりませんでしたから、べつだん、こわいともおもいませんでした。
「赤ずきんちゃん、こんちは。」 と、おおかみはいいました。
「ありがとう、おおかみちゃん。」
「たいそうはやくから、どちらへ。」
「おばあちゃんのところへいくのよ。」
「前かけの下にもってるものは、なあに。」
「お菓子に、ぶどう酒。 おばあさん、ご病気でよわっているでしょう。 それでおみまいにもってってあげようとおもって、きのう、おうちで焼いたの。 これでおばあさん、しっかりなさるわ。」
「おばあさんのおうちはどこさ、赤ずきんちゃん。」
「これからまた、八、九
赤ずきんちゃんは、こうおしえました。
おおかみは、心の中でかんがえていました。
「わかい、やわらかそうな小むすめ、こいつはあぶらがのって、おいしそうだ。 ばあさまよりは、ずっとあじがよかろう。 ついでにりょうほういっしょに、ぱっくりやるくふうがかんじんだ。」
そこで、おおかみは、しばらくのあいだ、赤ずきんちゃんとならんであるきながら、道みちこう話しました。
「赤ずきんちゃん、まあ、そこらじゅうきれいに咲いている花をごらん。
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赤ずきんちゃん - 情報
赤ずきんちゃん
あかずきんちゃん
文字数 3,700文字
青空情報
底本:「世界おとぎ文庫(グリム篇)森の小人」小峰書店
1949(昭和24)年2月20日初版発行
1949(昭和24)年12月30日4版発行
※原題の「ROTKPPCHEN」は、ファイル冒頭ではアクセント符号を略し、「ROTKAPPCHEN」としました。
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
入力:大久保ゆう
校正:浅原庸子
2004年4月29日作成
2005年11月19日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
青空文庫:赤ずきんちゃん