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ルンペルシュチルツヒェン

原題:Rumpelstilzchen

著者:グリム兄弟 Bruder Grimm

ルンペルシュチルツヒェン

文字数:3,828 底本発行年:1949
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序章-章なし

むかし、あるところに、こなやがありました。 水車小屋でこなをひくのを商売にして、まずしくくらしてはいましたが、ひとり、きれいなむすめをもっていました。

ところで、ひょんなことから、このこなやが、王さまとむかいあって、お話することになりました。 そこで、すこしばかり、ていさいをつくろうため、粉屋はこんなことをいいました。

「わたくしに、むすめがひとりございますが、わらをつむいで、金にいたします。」

王さまは、こなやの話を聞いて、

「ほほう、それはめずらしいげいとうだね。 ほんとうに話のとおり、おまえのむすめに、そんなきようなことができるなら、さぞおもしろいことであろう。 では、あした、さっそく城へつれてくるがいい。 ひとつ、わたしがためしてみてやろう。」 と、いいました。

さて、むすめが、いやおうなし、王さまのところへつれてこられると、王さまは、むすめをさっそく、わらのいっぱいつんであるおへやにいれました。 そうして、糸車とまきわくをわたして、こういいました。

「さあ、すぐと、しごとにかかるがよい。 今夜からあしたの朝はやくまでかかって、このわらが金につむげなければ、そちのいのちはないものとおもうがよいぞ。」

こういいのこして、王さまは、じぶんでへやの戸に、じょうをかってしまいました。 むすめは、ひとりぼっち、あとにのこりました。

さて、むすめは、ぽつねんとそこにすわったきり、いったいどうしたらいいのか、とほうにくれていました。 わらを金につむぐなんて、そんなこと、まるでわかりようはありません。 だんだん、心配になってきて、とうとう、たまらなくなると、むすめはわっと泣きだしました。

するうち、ふと、戸があきました。 ひとり、豆つぶのように小さな男がはいってきて、こういいました。

「こんばんは、こなやのおじょっちゃん、なんでそんなにかなしそうに泣きなさるえ。」

「まあ、あたし、わらを金につむがなければならないのだけれど、どうしてするものだかわからないの。」 と、むすめはいいました。

すると、こびとがいいました。

「わたしが、かわりに、それをつむいであげたら、なにをほうびにくれるえ。」

「このくびかざりをね。」 と、むすめはいいました。

こびとは、首かざりをもらうと、糸車の前にすわりました。 ぶるるん、ぶるるん、ぶるるん、三どまわすと、まきわくは、金の糸でいっぱいになりました。 それから、こびとは、また二ばんめのまきわくをかけて、ぶるるん、ぶるるん、ぶるるん、三どまわすと、三どめで、またふたつめのわくが、いっぱいになりました。 こうやって、あとから、あとからとやっていくうち、朝になりました。 もうそれまでに、のこらずまきわくは、いっぱい金の糸になっていました。

お日さまがのぼると、もうさっそく、王さまはやってきて、へやじゅうきらきら光っている金をみて、びっくりしました。 すると、よけい、いくらでももっと金がほしくなりました。

王さまは、また、こなやのむすめをもうひとつの、やはりわらのいっぱいつんである、しかもずっと大きなおへやへ、つれていかせました。

そうして、こんどもまた、いのちがしかったら、ひと晩でこれを金の糸につむげと、いいつけました。

むすめは、どうしていいかわからないので、泣いていますと、こんどもやはり戸があいて、そこにこびとが姿をあらわしました。

序章-章なし
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ルンペルシュチルツヒェン - 情報

ルンペルシュチルツヒェン

ルンペルシュチルツヒェン

文字数 3,828文字

底本 世界おとぎ文庫(グリム篇)森の小人

青空情報


底本:「世界おとぎ文庫(グリム篇)森の小人」小峰書店
   1949(昭和24)年2月20日初版発行
   1949(昭和24)年12月30日4版発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
入力:大久保ゆう
校正:浅原庸子
2004年6月16日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:ルンペルシュチルツヒェン

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