「いき」の構造
著者:九鬼周造
「いき」のこうぞう - くき しゅうぞう
文字数:49,637 底本発行年:1930
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La pens
e doit remplir toute l'existence.
MAINE DE BIRAN, Journal intime.
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序
この書は雑誌『思想』第九十二号および第九十三号(昭和五年一月号および二月号)所載の論文に修補を加えたものである。
生きた哲学は現実を理解し得るものでなくてはならぬ。
我々は「いき」という現象のあることを知っている。
しからばこの現象はいかなる構造をもっているか。
「いき」とは
昭和五年十月
著者
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目 次
一 序 説
二 「いき」の内包的構造
三 「いき」の外延的構造
四 「いき」の自然的表現
五 「いき」の芸術的表現
六 結 論
[#改丁]
一 序 説
「いき」という現象はいかなる構造をもっているか。
まず我々は、いかなる方法によって「いき」の構造を
まず一般に言語というものは民族といかなる関係を有するものか。
言語の内容たる意味と民族存在とはいかなる関係に立つか。
意味の妥当問題は意味の存在問題を無用になし得るものではない。