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天守物語

著者:泉鏡花

てんしゅものがたり - いずみ きょうか

文字数:20,599 底本発行年:1942
著者リスト:
著者泉 鏡花
底本: 泉鏡花集成7
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序章-章なし

時  不詳。 ただし封建時代――晩秋。 日没前より深更にいたる。

所  播州姫路。 白鷺城の天守、第五重。

登場人物

天守夫人、富姫。 (打見は二十七八)岩代国猪苗代、亀の城、亀姫。 (二十ばかり)姫川図書之助。 (わかき鷹匠)小田原修理。 山隅九平。 (ともに姫路城主武田播磨守家臣)十文字ヶ原、朱の盤坊。 茅野ヶ原の舌長姥。 (ともに亀姫の眷属)近江之丞桃六。 (工人)桔梗。 萩。 葛。 女郎花。 撫子。 (いずれも富姫の侍女)薄。 (おなじく奥女中)女の童、禿、五人。 武士、討手、大勢。

[#改ページ]

舞台。 天守の五重。 左右に柱、向って三方を廻廊下まわりろうかのごとく余して、一面に高く高麗こうらいべりの畳を敷く。 くれないの鼓の緒、処々に蝶結びして一条ひとすじ、これを欄干のごとく取りまわして柱に渡す。 おなじ鼓の緒のひかえづなにて、向って右、廻廊の奥に階子はしごを設く。 階子は天井に高く通ず。 左のかた廻廊の奥に、また階子の上下の口あり。 奥の正面、及び右なる廻廊の半ばより厚き壁にて、広き矢狭間やざま狭間はざまを設く。 外面は山岳の遠見とおみ、秋の雲。 壁に出入りの扉あり。 鼓の緒の欄干そと、左の一方、棟甍むながわら、並びに樹立こだちこずえを見す。 正面おなじく森々しんしんたる樹木の梢。

女童めのわらわ三人――合唱――

ここはどこの細道じゃ、細道じゃ、

天神様の細道じゃ、細道じゃ。

――うたいつつ幕く――

序章-章なし
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天守物語 - 情報

天守物語

てんしゅものがたり

文字数 20,599文字

著者リスト:
著者泉 鏡花

底本 泉鏡花集成7

親本 鏡花全集 第二十六卷

青空情報


底本:「泉鏡花集成7」ちくま文庫、筑摩書房
   1995(平成7)年12月4日第1刷発行
底本の親本:「鏡花全集 第二十六卷」岩波書店
   1942(昭和17)年10月15日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:門田裕志
校正:染川隆俊
2006年9月21日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:天守物語

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