• URLをコピーしました!

在りし日の歌 亡き児文也の霊に捧ぐ

著者:中原中也

ありしひのうた - なかはら ちゅうや

文字数:14,992 底本発行年:1967
著者リスト:
著者中原 中也
底本: 中原中也詩集
0
0
0


序章-章なし

[#ページの左右中央]

在りし日の歌

[#改ページ]

含羞はぢらひ

  ――在りし日の歌――

なにゆゑに こゝろかくはぢらふ

秋 風白き日の山かげなりき

椎の枯葉の落窪に

幹々は いやにおとなびちゐたり

枝々の みあはすあたりかなしげの

空は死児等の亡霊にみち まばたきぬ

をりしもかなた野のうへは

あすとらかんのあはひ縫ふ 古代の象の夢なりき

椎の枯葉の落窪に

幹々は いやにおとなび彳ちゐたり

その日 その幹の隙 睦みし瞳

姉らしき色 きみはありにし

その日 その幹のひま 睦みし瞳

姉らしき色 きみはありにし

あゝ! 過ぎし日の ほの燃えあざやぐをりをりは

わが心 なにゆゑに なにゆゑにかくは羞ぢらふ……

[#改ページ]

むなしさ

臘祭らふさいの夜の ちまたちて

心臓はも 条網にから

あぶらぎる 胸乳むなちあら

よすがなき われは戯女たはれめ

せつなきに 泣きも得せずて

この日頃 闇をはらめり

とほき空 線条に鳴る

海峡岸 冬の暁風

白薔薇しろばらの 造化の花瓣くわべん

てつきて 心もあらず

明けき日の 乙女のつど

それらみな ふるのわが友

偏菱形へんりようけい聚接面しゆうせつめんそも

胡弓の音 つづきてきこゆ

[#改ページ]

夜更の雨

  ――※(濁点付き片仮名ヱ、1-7-84)ルレーヌの面影――

雨は 今宵も 昔 ながらに、

序章-章なし
━ おわり ━  小説TOPに戻る
0
0
0
読み込み中...
ブックマーク系
サイトメニュー
シェア・ブックマーク
シェア

在りし日の歌 - 情報

在りし日の歌 亡き児文也の霊に捧ぐ

ありしひのうた なきこふみやのれいにささぐ

文字数 14,992文字

著者リスト:
著者中原 中也

底本 中原中也詩集

親本 中原中也全集 第1巻 詩 Ⅰ

青空情報


底本:「中原中也詩集」岩波文庫、岩波書店
   1981(昭和56)年6月16日第1刷発行
   1997(平成9)年12月5日第37刷発行
底本の親本:「中原中也全集 第1巻 詩 」角川書店
   1967(昭和42)年10月20日印刷発行
初出:「在りし日の歌」創元社
   1938(昭和13)年4月
入力:浜野安紀子
校正:浜野 智
1999年2月17日公開
2010年11月2日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:在りし日の歌

小説内ジャンプ
コントロール
設定
しおり
おすすめ書式
ページ送り
改行
文字サイズ

よかったらシェアしてね!