• URLをコピーしました!

猿かに合戦

著者:楠山正雄

さるかにかっせん - くすやま まさお

文字数:3,265 底本発行年:1983
著者リスト:
著者:楠山 正雄
0
0
0


序章-章なし

一

むかし、むかし、あるところに、猿(さる)とかにがありました。

ある日猿(さる)とかにはお天気(てんき)がいいので、連(つ)れだって遊(あそ)びに出ました。 その途中(とちゅう)、山道(やまみち)で猿(さる)は柿(かき)の種(たね)を拾(ひろ)いました。 またしばらく行(い)くと、川(かわ)のそばでかにはおむすびを拾(ひろ)いました。 かには、

「こんないいものを拾(ひろ)った。」

と言(い)って猿(さる)に見(み)せますと、猿(さる)も、

「わたしだってこんないいものを拾(ひろ)った。」

と言(い)って、柿(かき)の種(たね)を見(み)せました。 けれど猿(さる)はほんとうはおむすびがほしくってならないものですから、かにに向(む)かって、

「どうだ、この柿(かき)の種(たね)と取(と)りかえっこをしないか。」

と言(い)いました。

「でもおむすびの方(ほう)が大きいじゃないか。」

とかには言(い)いました。

「でも柿(かき)の種(たね)は、まけば芽(め)が出て木になって、おいしい実(み)がなるよ。」

と猿(さる)は言(い)いました。 そう言(い)われるとかにも種(たね)がほしくなって、

「それもそうだなあ。」

と言(い)いながら、とうとう大きなおむすびと、小さな柿(かき)の種(たね)とを取(と)りかえてしまいました。 猿(さる)はうまくかにをだましておむすびをもらうと、見(み)せびらかしながらうまそうにむしゃむしゃ食(た)べて、

「さようなら、かにさん、ごちそうさま。」

と言(い)って、のそのそ自分(じぶん)のうちへ帰(かえ)っていきました。

二

かには柿(かき)の種(たね)をさっそくお庭(にわ)にまきました。 そして、

「早(はや)く芽(め)を出(だ)せ、柿(かき)の種(たね)。

出(だ)さぬと、はさみでちょん切(ぎ)るぞ。」

と言(い)いました。 すると間(ま)もなく、かわいらしい芽(め)がにょきんと出ました。

かにはその芽(め)に向(む)かって毎日(まいにち)、

「早(はや)く木になれ、柿(かき)の芽(め)よ。

ならぬと、はさみでちょん切(ぎ)るぞ。」

と言(い)いました。 すると柿(かき)の芽(め)はずんずんのびて、大きな木になって、枝(えだ)が出て、葉(は)が茂(しげ)って、やがて花(はな)が咲(さ)きました。

かにはこんどはその木に向(む)かって毎日(まいにち)、

「早(はや)く実(み)がなれ、柿(かき)の木よ。

ならぬと、はさみでちょん切(ぎ)るぞ。」

と言(い)いました。

序章-章なし
━ おわり ━  小説TOPに戻る
0
0
0
読み込み中...
ブックマーク系
サイトメニュー
シェア・ブックマーク
シェア

猿かに合戦 - 情報

猿かに合戦

さるかにかっせん

文字数 3,265文字

著者リスト:
著者:楠山 正雄

底本 日本の神話と十大昔話

青空情報


底本:「日本の神話と十大昔話」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年5月10日第1刷発行
   1992(平成4)年4月20日第14刷発行
入力:鈴木厚司
校正:大久保ゆう
2003年8月2日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:猿かに合戦

小説内ジャンプ
コントロール
設定
しおり
おすすめ書式
ページ送り
改行
文字サイズ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!