新ハムレット
著者:太宰治
しんハムレット - だざい おさむ
文字数:94,402 底本発行年:1974
はしがき
こんなものが出来ました、というより
過去の
作者も、此の作品を書くに当り、坪内博士訳の「ハムレット」と、それから、浦口文治氏著の「新評註ハムレット」だけを、一とおり読んでみた。 浦口氏の「新評註ハムレット」には、原文も全部載っているので、辞書を片手に、大骨折りで読んでみた。 いろいろの新知識を得たような気もするが、いまそれを、ここでいちいち報告する必要も無い。
なお、作中第二節に、ちょっと坪内博士の訳文を、からかっているような数行があるけれども、作者は軽い気持で書いたのだから、博士のお
沙翁の「ハムレット」を読むと、やはり天才の巨腕を感ずる。 情熱の火柱が太いのである。 登場人物の足音が大きいのである。 なかなかのものだと思った。 この「新ハムレット」などは、かすかな室内楽に過ぎない。
なおまた、作中第七節、朗読劇の台本は、クリスチナ・ロセチの「時と亡霊」を、作者が少しあくどく潤色してつくり上げた。
ロセチの霊にも、お
最後に、此の作品の形式は、やや戯曲にも似ているが、作者は、決して戯曲のつもりで書いたのではないという事を、お断りして置きたい。
作者は、もとより小説家である。
戯曲作法に
二月、三月、四月、五月。
四箇月間かかって、やっと書き上げたわけである。
読み返してみると、
昭和十六年、初夏。
人物。
クローヂヤス。 (デンマーク国王。)
ハムレット。
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新ハムレット - 情報
青空情報
底本:「新ハムレット」新潮文庫、新潮社
1974(昭和49)年3月30日発行
1995(平成7)年1月30日30刷改版
1998(平成10)年7月20日33刷
※本作品中には、身体的・精神的資質、職業、地域、階層、民族などに関する不適切な表現が見られます。しかし、作品の時代背景と価値、加えて、作者の抱えた限界を読者自身が認識することの意義を考慮し、底本のままとしました。(青空文庫)
入力:細渕真弓
校正:細渕紀子
2003年1月27日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
青空文庫:新ハムレット