古事記物語
著者:鈴木三重吉
こじきものがたり - すずき みえきち
文字数:95,805 底本発行年:1955
女神 の死
一
世界ができたそもそものはじめ。
まず天と地とができあがりますと、それといっしょにわれわれ日本人のいちばんご先祖の、
そのときには、天も地もまだしっかり
それからまたお二人、そのつぎには
「あの、ふわふわしている地を固めて、日本の国を作りあげよ」
とおっしゃって、りっぱな
それでお二人は、さっそく、
お二人はその島へおりていらしって、そこへ
これで、淡路の島からかぞえて、すっかりで八つの島ができました。
ですからいちばんはじめには、日本のことを、
こうして、いよいよ国ができあがったので、お二人は、こんどはおおぜいの神さまをお生みになりました。
それといっしょに、風の神や、海の神や、山の神や、野の神、川の神、火の神をもお生みになりました。
ところがおいたわしいことには、
「ああ、わが妻の神よ、あの一人の子ゆえに、大事なおまえをなくするとは」とおっしゃって、それはそれはたいそうお
女神は、そこから、
しかし、神のおくやしみは、そんなことではお
二
すると、そこへ、夫の神が、はるばるたずねておいでになったので、女神は急いで戸口へお出迎えになりました。
「いとしきわが妻の女神よ。 おまえといっしょに作る国が、まだできあがらないでいる。 どうぞもう一度帰ってくれ」とおっしゃいました。 すると女神は、残念そうに、
「それならば、もっと早く迎えにいらしってくださいませばよいものを。
私はもはや、この国のけがれた火で
女神 の死
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古事記物語 - 情報
青空情報
底本:「古事記物語」角川文庫、角川書店
1955(昭和30)年1月20日初版発行
1968(昭和43)年8月10日31版発行
1980(昭和55)年9月30日改版19刷
初出:女神の死「赤い鳥」赤い鳥社
1919(大正8)年7月
天の岩屋「赤い鳥」赤い鳥社
1919(大正8)年8月
八俣の大蛇「赤い鳥」赤い鳥社
1919(大正8)年9月
むかでの室、へびの室「赤い鳥」赤い鳥社
1919(大正8)年10月
きじのお使い「赤い鳥」赤い鳥社
1919(大正8)年11月
笠沙のお宮「赤い鳥」赤い鳥社
1919(大正8)年12月
満潮の玉、干潮の玉「古事記物語上卷」赤い鳥社
1920(大正9)年12月
八咫烏「赤い鳥」赤い鳥社
1920(大正9)年1月
赤い盾、黒い盾「赤い鳥」赤い鳥社
1920(大正9)年2月
おしの皇子「赤い鳥」赤い鳥社
1920(大正9)年3月
白い鳥「赤い鳥」赤い鳥社
1920(大正9)年4月
朝鮮征伐「赤い鳥」赤い鳥社
1920(大正9)年5月
赤い玉「古事記物語下卷」赤い鳥社
1920(大正9)年12月
宇治の渡し「赤い鳥」赤い鳥社
1920(大正9)年6月
難波のお宮「赤い鳥」赤い鳥社
1920(大正9)年7月
大鈴小鈴「赤い鳥」赤い鳥社
1920(大正9)年8月
しかの群、ししの群「赤い鳥」赤い鳥社
1920(大正9)年9月
とんぼのお歌「古事記物語下卷」赤い鳥社
1920(大正9)年12月
うし飼、うま飼「古事記物語下卷」赤い鳥社
1920(大正9)年12月
※「八俣の大蛇」の初出時の表題は「赤い猪 」です。
※「八咫烏」の初出時の表題は「毒の大熊」です。
※「朝鮮征伐」の初出時の表題は「神功皇后」です。
※「白日子王」に対するルビの「しろひこのみこ」と「しらひこのみこ」の混在は、底本通りです。
入力:jupiter
校正:鈴木厚司
2001年11月19日公開
2014年8月2日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
青空文庫:古事記物語