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秋の瞳

著者:八木重吉

あきのひとみ - やぎ じゅうきち

文字数:7,659 底本発行年:1982
著者リスト:
著者八木 重吉
親本: 八木重吉全集
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私は、友が無くては、耐へられぬのです。 しかし、私には、ありません。 この貧しい詩を、これを、読んでくださる方の胸へ捧げます。 そして、私を、あなたの友にしてください。

[#改ページ]

息を 殺せ

息を ころせ

いきを ころせ

あかんぼが 空を みる

ああ 空を みる

白い枝

白い 枝

ほそく 痛い 枝

わたしのこころに

白い えだ

哀しみの 火矢ひや

はつあきの よるを つらぬく

かなしみの 火矢こそするどく

わづかに 銀色にひらめいてつんざいてゆく

それにいくらのせようと あせつたとて

この わたしのおもたいこころだもの

ああ どうして

そんな うれしいことが できるだらうか

ほがらかな 日

いづくにか

ものの

落つる ごとし

音も なく

しきりにも おつらし

フヱアリの 国

夕ぐれ

夏のしげみを ゆくひとこそ

しづかなる しげみの

はるかなる奥に フヱアリの 国をかんずる

おほぞらの こころ

わたしよ わたしよ

白鳥となり

らんらんと 透きとほつて

おほぞらを かけり

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秋の瞳 - 情報

秋の瞳

あきのひとみ

文字数 7,659文字

著者リスト:
著者八木 重吉

底本 八木重吉全詩集1

親本 八木重吉全集

青空情報


底本:「八木重吉全詩集1」ちくま文庫、筑摩書房
   1988(昭和63)年8月30日第1刷発行
   1997(平成9)年6月25日第4刷発行
底本の親本:「八木重吉全集」筑摩書房
   1982(昭和57)年9月
入力:j.utiyama
校正:富田倫生
1998年5月1日公開
2012年10月26日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:秋の瞳

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