善の研究
著者:西田幾多郎
ぜんのけんきゅう - にしだ きたろう
文字数:123,043 底本発行年:1937
序
この書は余が多年、金沢なる第四高等学校において教鞭を執っていた間に書いたのである。 初はこの書の中、特に実在に関する部分を精細に論述して、すぐにも世に出そうという考であったが、病と種々の事情とに妨げられてその志を果すことができなかった。 かくして数年を過している中に、いくらか自分の思想も変り来り、従って余が志す所の容易に完成し難きを感ずるようになり、この書はこの書として一先ず世に出して見たいという考になったのである。
この書は第二編第三編が先ず出来て、第一編第四編という順序に後から附加したものである。
第一編は余の思想の根柢である純粋経験の性質を
純粋経験を唯一の実在としてすべてを説明して見たいというのは、余が大分前から
思索などする奴は緑の野にあって枯草を食う動物の如しとメフィストに
明治四十四年一月京都にて
西田幾多郎
[#改ページ]
再版の序
この書を出版してから既に十年余の歳月を経たのであるが、この書を書いたのはそれよりもなお幾年の昔であった。
京都に来てから読書と思索とに
大正十年一月西田幾多郎
[#改ページ]
版を新にするに当って
この書刷行を重ねること多く、文字も往々鮮明を欠くものがあるようになったので、今度
今日から見れば、この書の立場は意識の立場であり、心理主義的とも考えられるであろう。
フェヒネルは或朝ライプチヒのローゼンタールの腰掛に休らいながら、日
序
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善の研究 - 情報
青空情報
底本:「善の研究」岩波文庫、岩波書店
1950(昭和25)年1月10日第1刷発行
1979(昭和54)年10月16日第48刷改版発行
1999(平成11)年10月25日第86刷発行
底本の親本:「善の研究」岩波書店
1937(昭和12)年改版
初出:「善の研究」弘道館
1911(明治44)年2月6日発行
※誤植を疑った箇所を、初出の表記にそって、あらためました。
※下村寅太郎氏による「解題」は省略しました。
入力:nns
校正:かとうかおり
2000年7月27日公開
2022年1月9日修正
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