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山羊の歌

著者:中原中也

やぎのうた - なかはら ちゅうや

文字数:14,016 底本発行年:1981
著者リスト:
著者中原 中也
底本: 中原中也詩集
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序章-章なし

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初期詩篇

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春の日の夕暮

トタンがセンベイ食べて

春の日の夕暮は穏かです

アンダースローされた灰が蒼ざめて

春の日の夕暮は静かです

ああ! 案山子かかしはないか――あるまい

いななくか――嘶きもしまい

ただただ月の光のヌメランとするまゝに

従順なのは 春の日の夕暮か

ポトホトと野の中に伽藍がらんは紅く

荷馬車の車輪 油を失ひ

私が歴史的現在に物を云へば

嘲る嘲る 空と山とが

瓦が一枚 はぐれました

これから春の日の夕暮は

無言ながら 前進します

みづからの 静脈管の中へです

[#改ページ]

今宵月はいよよかなしく、

養父の疑惑に瞳を※(「目+爭」、第3水準1-88-85)みはる。

秒刻ときは銀波を砂漠に流し

老男らうなん耳朶じだは螢光をともす。

あゝ忘られた運河の岸堤

胸に残つた戦車の地音

びつく鑵の煙草とりいで

月はものうく喫つてゐる。

それのめぐりを七人の天女は

趾頭舞踊しつづけてゐるが、

汚辱に浸る月の心に

なんの慰愛もあたへはしない。

をちにちらばる星と星よ!

おまへの※手そうしゆ[#「曾+りっとう」、17-6]を月は待つてる

[#改ページ]

サーカス

幾時代かがありまして

序章-章なし
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山羊の歌 - 情報

山羊の歌

やぎのうた

文字数 14,016文字

著者リスト:
著者中原 中也

底本 中原中也詩集

親本 中原中也全集第六巻

青空情報


底本:「中原中也詩集」岩波文庫、岩波書店
   1981(昭和56)年6月16日第1刷発行
   1997(平成9)年12月5日第37刷発行
底本の親本:「中原中也全集 第1巻 詩 」角川書店
   1967(昭和42)年10月20日印刷発行
初出:「山羊の歌」文圃堂
   1934(昭和9)年12月10日
入力:浜野安紀子
1998年11月29日公開
2010年11月2日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:山羊の歌

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