一握の砂
著者:石川啄木
いちあくのすな - いしかわ たくぼく
文字数:14,849 底本発行年:1910
函館なる郁雨宮崎大四郎君
同国の友文学士花明金田一京助君
この集を両君に捧ぐ。 予はすでに予のすべてを両君の前に示しつくしたるものの如し。 従つて両君はここに歌はれたる歌の一一につきて最も多く知るの人なるを信ずればなり。
また一本をとりて亡児真一に手向く。 この集の稿本を書肆の手に渡したるは汝の生れたる朝なりき。 この集の稿料は汝の薬餌となりたり。 而してこの集の見本刷を予の閲したるは汝の火葬の夜なりき。
著者
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明治四十一年夏以後の作一千余首中より五百五十一首を抜きてこの集に収む。
集中五章、感興の来由するところ相
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我を愛する歌
われ
なみだのごはず
泣きなむとすと家を
いたく
砂を指もて
ひと
この砂山は
砂山の砂に
初恋の
いたみを遠くおもひ
砂山の
あたり見まはし
いのちなき砂のかなしさよ
さらさらと
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一握の砂 - 情報
青空情報
底本:「日本文学全集12 国木田独歩 石川啄木集」集英社
1967(昭和42)年9月12日初版発行
1972(昭和47)年9月10日9版発行
底本の親本:「一握の砂」東雲堂書店
1910(明治43)年12月1日刊行
※冒頭の献辞と自序は、「啄木全集 第一巻」筑摩書房、1970(昭和45)年5月20日初版第4刷発行から、補いました。
※底本巻末の小田切進による注解は省略しました。
入力:j.utiyama
校正:浜野智
1998年8月11日公開
2017年10月30日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
青空文庫:一握の砂