現代語訳 平家物語 01 第一巻
著者:第一巻
げんだいごやく へいけものがたり - さくしゃふしょう
文字数:24,894 底本発行年:1960
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序詞
(祇園精舎)
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第一巻
二十余年の長きにわたって、その権勢をほしいままにし、「平家に
その系譜をたずねると、先ず遠くさかのぼって桓武天皇の第五皇子、
葛原親王の孫にあたる、
正盛は、白河法皇に仕えて、信任を得、その子
殿上の闇討
昔の権力者は、地位が安定してくるとやたらに、お寺とか、お墓とかを建てる習慣があったらしい。
人力では及びのつかない、神仏の加護を借りて、権力の座にいつまでも
ところが、ここに意外なところから、反対運動がもりあがってきた。
それは、今まで、さしたるライバルもなく、
「どうもあの男は、唯のネズミではない、今の内に始末しておかないと、とんだことになるぞ」
それが、事のはじまりで、天承元年の十一月二十三日、
一方忠盛の方も面白くない胸の内を、お世辞笑いにまぎらしている公卿の気持が手に取るように判るから、こいつは今に何か面倒なことがあるなと思っていた。
ともかく計画というものは、大方、どこからか情報がもれてくるものだが、恐らくは、忠盛ほどの男だから、
もちろん、こういう挑戦を聞いては、もともと、武士の生れで、武器をとっては、
戦場で鍛え上げた忠盛の目は、宮中のうす暗いところで、かすかに人の気配のするのを敏感に感じ取った。
彼はやおら、刀を抜き放つと、びゅん、びゅんと振り
主人が大胆な男だから、家来の方もまた粒よりだ。
「どうも今夜あたり、闇討があるって話ですね。
やっぱり主人の死に際は、見ておきたいからね」と
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現代語訳 平家物語 - 情報
青空情報
底本:「現代語訳 平家物語(上)」岩波現代文庫、岩波書店
2015(平成27)年4月16日第1刷発行
底本の親本:「世界名作全集 39 平家物語」平凡社
1960(昭和35)年2月12日初版発行
初出:「世界名作全集 39 平家物語」平凡社
1960(昭和35)年2月12日初版発行
※「神輿」と「御輿」の混在は、底本通りです。
※著者名は、本来は「尾士郎」です。
入力:砂場清隆
校正:みきた
2021年12月27日作成
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青空文庫:現代語訳 平家物語