オツベルと象
著者:宮沢賢治
オツベルとぞう - みやざわ けんじ
文字数:5,641 底本発行年:1980
……ある
第一日曜
オツベルときたら大したもんだ。
十六人の
そのうすくらい仕事場を、オツベルは、大きな
小屋はずいぶん
とにかく、そうして、のんのんのんのんやっていた。
そしたらそこへどういうわけか、その、白象がやって来た。
白い象だぜ、ペンキを
そいつが小屋の入口に、ゆっくり顔を出したとき、百姓どもはぎょっとした。 なぜぎょっとした? よくきくねえ、何をしだすか知れないじゃないか。 かかり合っては大へんだから、どいつもみな、いっしょうけんめい、じぶんの稲を扱いていた。
ところがそのときオツベルは、ならんだ器械のうしろの方で、ポケットに手を入れながら、ちらっと
するとこんどは白象が、
オツベルは
そしたらとうとう、象がのこのこ上って来た。
そして器械の前のとこを、
ところが何せ、器械はひどく
オツベルはやっと
「ああ、だめだ。 あんまりせわしく、砂がわたしの歯にあたる。」
まったく籾は、パチパチパチパチ歯にあたり、またまっ白な頭や首にぶっつかる。
さあ、オツベルは
「どうだい、
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オツベルと象 - 情報
青空情報
底本:「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫、新潮社
1989(平成元)年6月15日発行
底本の親本:「新修宮沢賢治全集 第十三巻」筑摩書房
1980(昭和55)年3月
※「〔一字不明〕」は、底本編集時の注記です。
入力:r.sawai
校正:篠宮康彰
1999年2月6日公開
2011年2月14日修正
青空文庫作成ファイル:
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青空文庫:オツベルと象