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桃太郎

著者:楠山正雄

ももたろう - くすやま まさお

文字数:5,354 底本発行年:1983
著者リスト:
著者楠山 正雄
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むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。 まいにち、おじいさんは山へしばりに、おばあさんは川へ洗濯せんたくに行きました。

ある日、おばあさんが、川のそばで、せっせと洗濯せんたくをしていますと、川上かわかみから、大きなももが一つ、

「ドンブラコッコ、スッコッコ。

ドンブラコッコ、スッコッコ。」

ながれてました。

「おやおや、これはみごとなももだこと。 おじいさんへのおみやげに、どれどれ、うちへってかえりましょう。」

おばあさんは、そういながら、こしをかがめてももろうとしましたが、とおくって手がとどきません。 おばあさんはそこで、

「あっちのみいずは、かあらいぞ。

こっちのみいずは、ああまいぞ。

かあらいみいずは、よけてい。

ああまいみいずに、よってい。

うたいながら、手をたたきました。 するとももはまた、

「ドンブラコッコ、スッコッコ。

ドンブラコッコ、スッコッコ。」

といいながら、おばあさんのまえながれてました。 おばあさんはにこにこしながら、

はやくおじいさんと二人ふたりけてべましょう。」

って、ももをひろいげて、洗濯物せんたくものといっしょにたらいの中にれて、えっちら、おっちら、かかえておうちへかえりました。

夕方ゆうがたになってやっと、おじいさんは山からしばを背負せおってかえってました。

「おばあさん、いまかえったよ。」

「おや、おじいさん、おかいんなさい。 っていましたよ。 さあ、はやくおがんなさい。 いいものをげますから。」

「それはありがたいな。 なんだね、そのいいものというのは。」

こういいながら、おじいさんはわらじをぬいで、上にがりました。 そのに、おばあさんは戸棚とだなの中からさっきのももおもそうにかかえてて、

「ほら、ごらんなさいこのももを。」

いました。

「ほほう、これはこれは。 どこからこんなみごとなももってた。」

「いいえ、ってたのではありません。 今日きょう川でひろってたのですよ。」

「え、なに、川でひろってた。

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桃太郎 - 情報

桃太郎

ももたろう

文字数 5,354文字

著者リスト:
著者楠山 正雄

底本 日本の神話と十大昔話

青空情報


底本:「日本の神話と十大昔話」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年5月10日第1刷発行
   1992(平成4)年4月20日第14刷発行
※「そのお城(しろ)のいちばん高(たか)い」「こうして何年(なんねん)も」の行頭が下がっていないのは底本のままです。
入力:鈴木厚司
校正:大久保ゆう
2003年8月27日作成
2013年10月21日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:桃太郎

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