蟹工船
著者:小林多喜二
かにこうせん - こばやし たきじ
文字数:61,147 底本発行年:1953
一
「おい地獄さ
二人はデッキの手すりに寄りかかって、
赤い太鼓腹を
この蟹工船博光丸のすぐ手前に、ペンキの
「
そう云って、身体をずらして寄こした。
そしてもう一人の漁夫の手を握って、自分の腰のところへ持って行った。
一人は黙って、その漁夫の顔をみた。
「ヒヒヒヒ……」と笑って、「
ボート・デッキで、「将軍」のような
「お前は
「××町」みんな同じだった。
函館の貧民
「あっちの棚は?」
「南部」
「それは?」
「秋田」
それ等は各
棚をちがえていた。
「秋田の何処だ」
「北秋田だんし」と云った。
「百姓か?」
一
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蟹工船 - 情報
青空情報
底本:「蟹工船・党生活者」新潮文庫、新潮社
1953(昭和28)年6月28日発行
1968(昭和43)年5月30日32刷改版
1998(平成10)年1月10日89版
初出:「戦旗」
1929(昭和4)年5月、6月号
※「樺太」に対するルビの「からふと」と「かばふと」の混在は、底本通りです。
※複数行にかかる波括弧には、罫線素片をあてました。
入力:細見祐司
校正:富田倫生
2004年11月30日作成
2022年1月23日修正
青空文庫作成ファイル:
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青空文庫:蟹工船