白雪姫
原題:SNEEWITTCHEN
著者:グリム
しらゆきひめ
文字数:10,652 底本発行年:1949
むかしむかし、冬のさなかのことでした。
雪が、鳥の羽のように、ヒラヒラと天からふっていましたときに、ひとりの
「どうかして、わたしは、雪のようにからだが白く、血のように赤いうつくしいほっぺたをもち、このこくたんのわくのように黒い
それから、すこしたちまして、女王さまは、ひとりのお
一年以上たちますと、王さまはあとがわりの女王さまをおもらいになりました。
その女王さまはうつくしいかたでしたが、たいへんうぬぼれが強く、わがままなかたで、じぶんよりもほかの人がすこしでもうつくしいと、じっとしてはいられないかたでありました。
ところが、この女王さまは、まえから一つのふしぎな
「
国じゅうで、だれがいちばんうつくしいか、いっておくれ。」
すると、鏡はいつもこう答えていました。
「女王さま、あなたこそ、お国でいちばんうつくしい。」
それをきいて、女王さまはご安心なさるのでした。 というのは、この鏡は、うそをいわないということを、女王さまは、よく知っていられたからです。
そのうちに、
「鏡や、鏡、壁にかかっている鏡よ。
国じゅうで、だれがいちばんうつくしいか、いっておくれ。」
すると、鏡は答えていいました。
「
けれども、
女王さまは、このことをおききになると、びっくりして、ねたましくなって、顔色を黄いろくしたり、青くしたりなさいました。
さて、それからというものは、女王さまは、白雪姫をごらんになるたびごとに、ひどくいじめるようになりました。 そして、ねたみと、こうまんとが、野原の草がいっぱいはびこるように、女王さまの、心の中にだんだんとはびこってきましたので、いまでは夜もひるも、もうじっとしてはいられなくなりました。
そこで、女王さまは、ひとりのかりうどをじぶんのところにおよびになって、こういいつけられました。
「あの子を、森の中につれていっておくれ。
わたしは、もうあの子を、二どと見たくないんだから。
だが、おまえはあの子をころして、そのしょうこに、あの子の
かりうどは、そのおおせにしたがって、
「ああ、かりうどさん、わたしを助けてちょうだい。 そのかわり、わたしは森のおくの方にはいっていって、もう家にはけっしてかえらないから。」