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恋衣

著者:山川登美子・増田雅子・與謝野晶子

こいごろも - ますだ まさこ

文字数:11,902 底本発行年:1905
著者リスト:
親本: 恋衣
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序章-章なし

[#ページの左右中央に]

詩人薄田泣菫の君に捧げまつる

[#改丁]

絵画目次[#省略]

[#改丁]

詩目次[#底本では各項は、「君死に給ふこと勿れ」に合わせて均等割付]

白百合

みをつくし

曙染

君死に給ふこと勿れ

恋ふるとて

いかが語らむ

皷いだけば

しら玉の

冥府のくら戸は

[#改丁]

白百合

山川登美子

髪ながき少女とうまれしろ百合にぬかは伏せつつ君をこそ思へ

聖壇せいだんにこのうらわかきにへを見よしばしはしよくひやくにもまさむ

そは夢かあらずまぼろし目をとぢて色うつくしき靄にまかれぬ

日を経なばいかにかならむこの思たまひし草もいま蕾なり

射あつべし射あてじとても矢はつがへきんの桂にぬかまける君

恋せじと書かせたまふか琴にしてともにと植ゑし桐のおち葉に

こがね雲ただに二人をこめて捲けなかのへだてを神もゆるさじ

手もふれぬ琴柱ことぢたふれてうらめしき音をたてわたる秋の夕かぜ

何といふところか知らず思ひ入れば君に逢ふ道うつくしきかな

このもだえ行きて夕のあら海のうしほに語りやがて帰らじ

この塚のぬしを語るな名を問ふなただすみれぐさひとむら植ゑませ

べにの花朝々つむにかずつきず待つと百日もゝかをなぐさめ居らむ

ひとすぢを千金せんきんに買ふわうもあれ七尺みどり秋のおち髪

わがいきを芙蓉の風にたとへますな十三絃をひといき

またの世は魔神まがみの右手の鞭うばひ美くしき恋みながら打たむ

袖たてて掩ひたまふな罪ぞ君つひのさだめを早うけて行かむ

うつつなく消えても行かむわかき子のもだえのはての歌ききたまへ

わすれじなわすれたまはじさはいへど常のさびしき道ゆかむ身か

われゆゑに泣かせまつりぬゆるしませよわき少女にいま秋のかぜ

わが胸のみだれやすきに針もあてずましろききぬをかづきて泣きぬ

狂へりや世ぞうらめしきのろはしき髪ときさばき風にむかはむ

序章-章なし
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恋衣 - 情報

恋衣

こいごろも

文字数 11,902文字

著者リスト:
著者増田 雅子

底本 恋衣 名著復刻 詩歌文学館

親本 恋衣

青空情報


底本:「恋衣 名著復刻 詩歌文学館」日本近代文学館
   1980(昭和55)年4月1日発行
底本の親本:「恋衣」本郷書院
   1905(明治38)年1月1日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の旧字を新字にあらためました。固有名詞も原則として例外とはしませんでしたが、人名のみは底本のままとしました。
※変体仮名は、通常の仮名にあらためました。
※底本中で脱漏や誤りの可能性がある点については、「與謝野鉄幹・與謝野晶子集 明治文学全集51」筑摩書房、1968(昭和43)年、「與謝野寛 與謝野晶子 窪田空穂 吉井勇 若山牧水集 日本現代文学全集37」講談社、1964(昭和39)年を参照し、補訂しました。
入力:武田秀男
校正:kazuishi
2004年6月2日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:恋衣

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