• URLをコピーしました!

金太郎

著者:楠山正雄

きんたろう - くすやま まさお

文字数:3,813 底本発行年:1983
著者リスト:
著者楠山 正雄
0
0
0


序章-章なし

むかし、金太郎きんたろうというつよ子供こどもがありました。 相模国さがみのくに足柄山あしがらやま山奥やまおくまれて、おかあさんの山うばといっしょにくらしていました。

金太郎きんたろうまれたときからそれはそれはちからつよくって、もう七つ八つのころには、石臼いしうすやもみぬかのたわらぐらい、へいきでげました。 大抵たいてい大人おとな相手あいてにすもうをってもけませんでした。 近所きんじょにもう相手あいてがなくなると、つまらなくなって金太郎きんたろうは、一にちもりの中をかけまわりました。 そしておかあさんにもらった大きなまさかりをかついであるいて、やたらに大きなすぎの木やまつの木をきりたおしては、きこりのまねをしておもしろがっていました。

ある日もりおくのずっとおくはいって、いつものように大きな木をっていますと、のっそり大きなくまが出てました。 くまは目をひからせながら、

「だれだ、おれのもりをあらすのは。」

って、とびかかってました。 すると金太郎きんたろうは、

なんだ、くまのくせに。 金太郎きんたろうらないか。」

いながら、まさかりをほうりして、いきなりくまみつきました。 そしてあしがらをかけて、どしんとびたにげつけました。 くまはへいこうして、両手りょうてをついてあやまって、金太郎きんたろう家来けらいになりました。 もりの中で大将たいしょうぶんのくまがへいこうして金太郎きんたろう家来けらいになったのをて、そのあとからうさぎだの、さるだの、鹿しかだのがぞろぞろついてて、

金太郎きんたろうさん、どうぞわたくしも御家来ごけらいにしてください。」

いました。 金太郎きんたろうは、「よし、よし。」 とうなずいて、みんな家来けらいにしてやりました。

それからは金太郎きんたろうは、毎朝まいあさおかあさんにたくさんおむすびをこしらえていただいて、もりの中へかけて行きました。 金太郎きんたろう口笛くちぶえいて、

「さあ、みんない。 みんない。」

びますと、くまかしらに、鹿しかさるやうさぎがのそのそ出てました。 金太郎きんたろうはこの家来けらいたちをおともれて、一にち山の中をあるきまわりました。 ある日方々ほうぼうあるいて、やがてやわらかなくさえているところますと、みんなはあししてそこへごろごろころびました。 日がいい心持こころもちそうにたっていました。 金太郎きんたろうが、

「さあ、みんなすもうをれ。 ごほうびにはこのおむすびをやるぞ。」

いますと、くまがむくむくしたって、土俵どひょうをこしらえました。

はじめにさるとうさぎがんで、鹿しか行司ぎょうじになりました。 うさぎがさるのしっぽをつかまえて、土俵どひょうそとそうとしますと、さるがくやしがって、むちゃくちゃにうさぎのながみみをつかんでひっぱりましたから、うさぎはいたがってをはなしました。 それで勝負しょうぶがつかなくなって、どちらもごほうびがもらえませんでした。

こんどはうさぎが行司ぎょうじになって、鹿しかくまみましたが、鹿しかはすぐつのごとくまにひっくりかえされてしまいました。 金太郎きんたろうは、

序章-章なし
━ おわり ━  小説TOPに戻る
0
0
0
読み込み中...
ブックマーク系
サイトメニュー
シェア・ブックマーク
シェア

金太郎 - 情報

金太郎

きんたろう

文字数 3,813文字

著者リスト:
著者楠山 正雄

底本 日本の神話と十大昔話

青空情報


底本:「日本の神話と十大昔話」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年5月10日第1刷発行
   1992(平成4)年4月20日第14刷発行
入力:鈴木厚司
校正:大久保ゆう
2003年8月2日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:金太郎

小説内ジャンプ
コントロール
設定
しおり
おすすめ書式
ページ送り
改行
文字サイズ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!