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ねずみの嫁入り

著者:楠山正雄

ねずみのよめいり - くすやま まさお

文字数:1,596 底本発行年:1983
著者リスト:
著者楠山 正雄
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序章-章なし

むかし、むかし、あるいえのおくらの中に、おこめって、むぎって、あわって、まめって、たいそうゆたかにらしているおかねちのねずみがんでおりました。

子供こどもがないのでかみさまにおねがいしますと、やっとおんなの子がまれました。 その子はずんずん大きくなって、かがやくほどうつくしくなって、それはねずみのおくにでだれ一人ひとりくらべるもののない日本一にほんいちのいいむすめになりました。

こうなると、もうねずみの仲間なかまにはわたしたところ、とてもむすめのお婿むこさんにするようなものはありませんでした。 ねずみのおとうさんとおかあさんは、

「うちのむすめ日本一にほんいちむすめなのだから、なんでも日本一にほんいちのお婿むこさんをもらわなければならない。」

いました。

そこでこのの中でだれがいちばんえらいかというと、それはたかたかそらの上から世界中せかいじゅうをあかるくらしておいでになるお日さまのほかにはありませんでした。 そこでおとうさんはおかあさんとむすめれて、てんのぼっていきました。 そしてお日さまに、

「お日さま、お日さま、あなたはの中でいちばんえらいおかたです。 どうぞわたくしのむすめをおよめにもらってくださいまし。」

といって、ていねいにおじぎをしました。

するとお日さまはにこにこなさりながら、

「それはありがたいが、の中にはわたしよりもっとえらいものがあるよ。」

とおっしゃいました。

おとうさんはびっくりしました。

「まあ、あなたよりもえらいかたがあるのですか。 それはどなたでございますか。」

「それはくもさ。 わたしがいくらそらでかんかんっていようとおもっても、くもが出てくるともうだめになるのだからね。」

「なるほど。」

おとうさんはそこで、こんどはくもところへ出かけました。

くもさん、くもさん、あなたはの中でいちばんえらいおかたです。 どうぞわたくしのむすめをおよめにもらってくださいまし。」

「それはありがたいが、の中にはわたしよりもっとえらいものがあるよ。」

おとうさんはびっくりしました。

「まあ、あなたよりもえらいかたがあるのですか。 それはどなたでございますか。」

「それはかぜさ。 かぜきとばされてはわたしもかなわないよ。」

「なるほど。」

おとうさんはそこで、こんどはかぜところへ出かけていきました。

かぜさん、かぜさん、あなたはの中でいちばんえらいおかたです。 どうぞわたくしのむすめをおよめにもらってくださいまし。」

「それはありがたいが、の中にはわたしよりもっとえらいものがあるよ。」

おとうさんはびっくりしました。

「まあ、あなたよりもえらいかたがあるのですか。 それはどなたでございますか。」

序章-章なし
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ねずみの嫁入り - 情報

ねずみの嫁入り

ねずみのよめいり

文字数 1,596文字

著者リスト:
著者楠山 正雄

底本 日本の神話と十大昔話

青空情報


底本:「日本の神話と十大昔話」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年5月10日第1刷発行
   1992(平成4)年4月20日第14刷発行
入力:鈴木厚司
校正:大久保ゆう
2003年8月2日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:ねずみの嫁入り

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