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猿かに合戦

著者:楠山正雄

さるかにかっせん - くすやま まさお

文字数:3,265 底本発行年:1983
著者リスト:
著者楠山 正雄
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序章-章なし

むかし、むかし、あるところに、さるとかにがありました。

ある日さるとかにはお天気てんきがいいので、れだってあそびに出ました。 その途中とちゅう山道やまみちさるかきたねひろいました。 またしばらくくと、かわのそばでかにはおむすびをひろいました。 かには、

「こんないいものをひろった。」

ってさるせますと、さるも、

「わたしだってこんないいものをひろった。」

って、かきたねせました。 けれどさるはほんとうはおむすびがほしくってならないものですから、かににかって、

「どうだ、このかきたねりかえっこをしないか。」

いました。

「でもおむすびのほうが大きいじゃないか。」

とかにはいました。

「でもかきたねは、まけばが出て木になって、おいしいがなるよ。」

さるいました。 そうわれるとかにもたねがほしくなって、

「それもそうだなあ。」

いながら、とうとう大きなおむすびと、小さなかきたねとをりかえてしまいました。 さるはうまくかにをだましておむすびをもらうと、せびらかしながらうまそうにむしゃむしゃべて、

「さようなら、かにさん、ごちそうさま。」

って、のそのそ自分じぶんのうちへかえっていきました。

かにはかきたねをさっそくおにわにまきました。 そして、

はやせ、かきたね

さぬと、はさみでちょんるぞ。」

いました。 するともなく、かわいらしいがにょきんと出ました。

かにはそのかって毎日まいにち

はやく木になれ、かきよ。

ならぬと、はさみでちょんるぞ。」

いました。 するとかきはずんずんのびて、大きな木になって、えだが出て、しげって、やがてはなきました。

かにはこんどはその木にかって毎日まいにち

はやがなれ、かきの木よ。

ならぬと、はさみでちょんるぞ。」

いました。

序章-章なし
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猿かに合戦 - 情報

猿かに合戦

さるかにかっせん

文字数 3,265文字

著者リスト:
著者楠山 正雄

底本 日本の神話と十大昔話

青空情報


底本:「日本の神話と十大昔話」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年5月10日第1刷発行
   1992(平成4)年4月20日第14刷発行
入力:鈴木厚司
校正:大久保ゆう
2003年8月2日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:猿かに合戦

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