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若菜集

著者:島崎藤村

わかなしゅう - しまざき とうそん

文字数:17,483 底本発行年:1968
著者リスト:
著者島崎 藤村
底本: 藤村詩集
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序章-章なし

こゝろなきうたのしらべは

ひとふさのぶだうのごとし

なさけあるてにもつまれて

あたゝかきさけとなるらむ

ぶだうだなふかくかゝれる

むらさきのそれにあらねど

こゝろあるひとのなさけに

かげにおくふさのみつよつ

そはうたのわかきゆゑなり

あぢはひもいろもあさくて

おほかたはかみてすつべき

うたゝねのゆめのそらごと

一 秋の思

秋は

秋は来ぬ

一葉ひとはは花は露ありて

風の来てく琴の音に

青き葡萄ぶどうは紫の

自然の酒とかはりけり

秋は来ぬ

秋は来ぬ

おくれさきだつ秋草あきぐさ

みな夕霜ゆふじものおきどころ

笑ひの酒を悲みの

さかづきにこそつぐべけれ

秋は来ぬ

秋は来ぬ

くさきも紅葉もみぢするものを

たれかは秋に酔はざらめ

智恵ちえあり顔のさみしさに

君笛を吹けわれはうたはむ

初恋

まだあげめし前髪まへがみ

林檎りんごのもとに見えしとき

前にさしたる花櫛はなぐし

花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて

林檎をわれにあたへしは

序章-章なし
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若菜集 - 情報

若菜集

わかなしゅう

文字数 17,483文字

著者リスト:
著者島崎 藤村

底本 藤村詩集

青空情報


底本:「藤村詩集」新潮文庫、新潮社
   1968(昭和43)年2月10日発行
   1997(平成9)年10月15日55刷
※ルビの一部を新仮名遣いとする扱いは、底本通りにしました。
入力:佐野女子高等学校2-1(H11)
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年5月8日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

青空文庫:若菜集

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